6月に入り、小樽港にはクルーズ客船の寄港が続いています。
6月1日にバハマ船籍の「ブレーメン」が寄港したのを皮切りに、
6日は同じくバハマの「クリッパーオデッセイ」、
17日に日本の「ぱしふぃっくびいなす」、
19日にバミューダの「サン・プリンセス」と続々です。
19日に初寄港したサン・プリンセスは、今年小樽に寄港が予定されているクルーズ船のなかでも最大の船。
総トン数77,441トン、全長261.3メートル、全幅32.3メートル、喫水(船底から水面まで)が8.1メートル。
大きいです。
ウィングベイから、かつない臨海公園をつなぐ歩道橋から見ても大きい。
存在感あるわ〜。
そして近くに行くと、全貌を写すのが大変です。
iPhoneカメラのパノラマ機能というのを初めて使いました。
ちょっと歪んでますが。
一眼レフを撮り出し、撮影しようとしたときに気づきました。
SDカードが入っていない……。
小樽人編集部員としたことが、なんという失態!
バッテリー残量半分という心細いiPhoneカメラが頼みです。
小樽港への到着が遅れたせいでしょうか、
出港が予定時刻より1時間延びて7時になったという情報を小耳に挟みました。
さて、1時間をどうするか……。
近くにあるフェリーターミナルビルの中に海に面したレストランがあります。
「混んでるだろうな……」と思いつつ行くと
やっぱり混んでいました。
どのテーブルも埋まっていました。こんなの初めて……。
しかたなく、場所を変えて見ることにしました。
幼い頃、港に特別な船が入るたびに父が見に連れていってくました。
帆船の日本丸や海王丸、南極観測船の「ふじ」「しらせ」……。
だからでしょうか、いまでも船が入ったと聞くと、心がむずむずしてしまうのです。
勝内埠頭に到着してから出港迄の1時間30分、
飽きもせず、ただただ船を見ていました。
市内観光を終えた乗客がタラップを上がってゆく姿。
デッキに出てきて、こちらに手を振る乗客たちの姿。
タグボートが現れると
船から出ているロープがスイスイと巻き上げられていきました。
なんでしょうね、この寂しい感じ。
たかだか1時間前に初めて見た船なのに、
知ってる人が乗っているわけでもないのに、
この置き去りにされるような感覚は何なんでしょうか。
ガラス越しに船を見ながら、そんなことをぼんやりと考えていると
いよいよ船が動き出しました。
屋外に出ると地響きのような低音が聞こえます。
「潮太鼓」です。
この音で、さっきまでの感傷的な気分がかき消され
さっきまでの自分が滑稽に思えてきました。
「そうだよ、見送りには潮太鼓、当然当然!」
と自分に言い聞かせながらも、変な感じ。
太鼓の演奏が終わり、徐々に岸を離れていく船から、乗客がこちらに手を振っています。
「さようならー、ありがとう!」
「さようなら」
大きな声でそう言っていたのは、乗客? 見送りの人?
そんな声も静まった頃、
船から拍手が聞こえてきたり、たまにフラッシュの光が見えたり。
まだ乗客の様子が微かにこちらに伝わってきていました。
後ろ向きで離岸したあとに一度静止し、しばらく時間をおいて今度は前進です。
赤と白の灯台を目指してゆっくりと、ゆっくりと。
灯台目前!
ジャスト灯台!
灯台通過!
あの巨大な船体にして、すごく静かでエレガントなのが不思議です。
船が外海に出て行くと、集まった人たちの間にも
寂しげな雰囲気が漂います。
「あー行っちゃった」
人も徐々に少なくなり、あたりはとても静かになりました。
姿は小さくなってもなかなか見えなくならない船を見ていると
これがまた寂しい。
船に乗っている人は、こんな気分にはならないんでしょうね。
サン・プリンセスさん、またいつか会いましょう。
え、7月19日に寄港?!
では7月にまた会いましょう。