小樽雪あかりの路16 その2 ブルーモーメントの塩谷

『小樽雪あかりの路』は2月16日(日)に終わりました。
小樽中が静かな祭りの雰囲気で満たされていた10日間。
年々会場が増えているようで、気にかかるところもたくさんあり……
期間中、あちこちに足を運びました。

2月9日は、数年前から気になっていた塩谷会場へ。

ご存知の方も多いと思いますが、
「小樽雪あかりの路」の名前の由来となっているのは
伊藤整の詩集『雪明りの路』です。
そして、伊藤整が住んでいたことのある場所が塩谷です。
その塩谷で5年前から雪あかりの路がはじまりました。

夕方5時を目指していきました。
一面が青紫に染まる、一番美しく見える時間帯が
5時〜5時半の間にあるんですね。
この時間帯をブルーモーメントと呼ぶそうです。

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到着したときはまだ白い会場。
国道5号線脇のゴロタの丘にある伊藤整文学碑。

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徐々にいい色に。
アイスキャンドルの向こうに海が見えます。

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ほーら、いい色。
木立の間にキャンドルの路。

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ああ……
ため息が出るほどの色、光。

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「参りました!」
と心の中で白旗をあげつつ
脇を締めてシャッターをバシャ!
三脚を忘れました。

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白樺の木が赤く浮かび上がります。

この色を見て、小さい頃に遊んだディズニーの『バンビ』のトランプを思い出しました。
カードのなかに山火事の様子が描かれていたものがありました。
その絵が怖くて、カードが手元にくると、とても不安な気持ちになったものです。

白樺の赤色はトランプの絵の色とよく似ていました。

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ハートのオブジェ。
若い女性2人が楽しそうにポーズをとっていました。
この色、なんともいえませんね。
ワンダフォー! ブルーモーメント!!

そして、わずかな青紫の時間を楽しんだあとに
別な楽しみを見つけてしまいました。

アイスキャンドルの鑑賞です。

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塩谷会場では、キャンドルのほとんどが氷でできたドームの中に入っています。
アイスドームの氷のヒビ、割れ、溶け、サイズ、厚さ、形、etc…….
それぞれ違って味わいが深いのです。

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このヒビの入り具合が素敵! とか

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これは泡の流れ方がイイね! とか

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氷が薄くて繊細! とか

あやうく全部をじっくり鑑賞するところでした。
全部見終えた頃には、鼻水がアイスバーになっていたことでしょう。
50個くらいで終わりにしてよかった。

会場にいらしゃった地元の方にお話を聞くと
キャンドルは約800個で、地元の方が手作りしたそうです。
よく見ると公式キャンドルより大きめでした。

ボランティアの方たち、地元の方たちがいっしょになって
この素晴らしい会場を作られたそうです。

「たくさんのキャンドル作り、大変でしたね」と言うと
「いや〜、俺はほんのちょっとやっただけだから……」と。
他の方のことをずいぶん讃えていらっしゃいました。

街の中心部から少し離れているせいもあって
運河や手宮線会場から比べると訪れる人は少ないです。
もっと多くの人に見て欲しい! と強く思う一方で
あまり多くの人が来くると、この静かな雰囲気が……
矛盾した気持ちがわいてきます。

国道を走る車の音が途切れると、潮騒が聞こえます。
風が吹けば風の音も。
塩谷の丘に立っていると
雪あかりの路は “聴くもの” のようにも思えてきました。

塩谷を味わい尽くした私。
お腹いっぱいのはずなのに……雪あかりは別腹に入るんですね。

塩谷から伍助沢を通って天狗山会場へ。

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ロープウェイには乗らず、ゲレンデの下の方で天狗さんをパチリ。

さらに移動して、先日見逃していた手宮線会場・小樽文学館〜寿司屋通りまでの路へ。

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花のようにも見えるオブジェやフクロウのオブジェ。
ビアバーなどもありました。
こちらは街の賑やかな、いい雰囲気が漂っています。

寿司屋通りから堺町通りへ向かって下ります。

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大正硝子たるっこ倶楽部。
こぼれる灯りがいいねー。

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石蔵とナナカマドの実。

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おや、かわいい招き猫オブジェ。

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おや、こちらにも猫のキャンドルが。
梅ヶ枝町にある猫の事務所ことあとりゑ・クレール。
昨年からスノーキャンドルを灯しています。
私もお手伝いしましたよ。

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期間中は 「MY FAVORITE展」として秘蔵品が展示されていました。
猫の絵、パッチワークキルト、オブジェなどなど。
コレクションからオーナーのこだわりやアーティストへの愛情が伝わってきました。
外は寒かったのですが、中はいろんな意味であったかでした。

先にご紹介した塩谷会場は2月8、9日の二日間のみの開催です。

もったいないなー、などと思いつつ数日を過ごし、
3日後の12日はずいぶん春らしい日で……

春は海から来る、と私は思っておりまして……
夕方、車を余市方面に走らせ……
行ってみました! 塩谷会場。

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ハートのオブジェはまだしっかりと形を残していました。

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祭りのあとは、
ちょっと寂しいね。

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9日は気が急いていてゆっくり見ることができなかった歌碑。

こんなにすばらしい詩を読んでいなかったとは……。

何かを見ているということは
同時に見てないものがあるんだなー、などと思いました。

伊藤整 「海の捨児」

塩谷の海の前で読むのもいいと思いました。

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東の空を見ると月。
春っぽい空です。

そして、今日も帰りが遅くなりました。

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小樽猫たちは……あら、3匹よりそって。

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あらら、よく見ると、舌が「ベー」してる!!